民事信託には多くのメリットがあります。私自身それを実感し、業務として力を入れて取り組みたいと思っています。老後や死後の備えを検討されている方におすすめの制度です。そのメリットを少しみていきます。

民事信託の受託者に家族を指定したものを一般に家族信託と呼んでいます。親が元気なうちに家族に財産を託し、先で判断能力が低下してもそれは続きます。元気なうちに備えをしておかなければ、成年後見制度を検討するしか選択肢がなくなります。成年後見人は通常は弁護士や司法書士等の第三者が選任されます。そうなれば親の財産は家族の意向に沿った運用が難しくなります。メリットの一つは、信託契約で財産を託しておけば、財産の管理運用は後見人に影響されず、判断能力低下後も引き続き家族が財産の管理運用をすることができる、ということです。

民事信託の根拠となっているのは「信託法」という特別法です。特別法は一般法に優先しますから民法にも優先し、民法ではできなかったことができます。その一つは受益者連続型信託です。たとえば当初受益者の自分の死後は自分の配偶者が受益者の立場を承継する、と措定できます。その先も指定できます。ただし30年という期間制限はあります。信託設定から30年経過した後は受益者の交代は一度しかできません。もう一つは後継ぎ遺贈です。自分の死後の財産の帰属先を数次先まで決めておくことができます。例えば自分→配偶者→長男→孫という具合に相続人と順番を指定できます。遺言だと自分→配偶者までしか決めることができません。これも大きなメリットと言えます。

信託には上記のように遺言の機能がありますが、更に変更・撤回不能機能を持たせることもできます。遺言は遺言自由の原則があり、遺言者はいつでも変更撤回破棄ができます。いくら家族で話し合って合意の上での遺言も、それゆえ確実ではありません。その点信託では契約内容の変更解約に一定の制限をつけることができます。実質的に遺言を確定させることができます。

一方で信託にもデメリットはあります。それは別の機会に触れます。