家族信託のすすめ②

 超高齢化社会を迎え、老老介護や認認介護という言葉が浸透してきました。それだけ認知症を発症する人が増えてきたということです。認知症を発症しないでも高齢になるにつれ判断能力の低下は出てきます。認知症になったときや介護が必要となったときは施設の利用を検討することになります。介護保険が使えると言っても施設に入所すればそれなりの自己負担額は発生します。年金の範囲内で上手にやりくりできれば良いのですが、ご自身の希望するような施設の料金が年金で払えるとは限りません。

 年金が不足するのであればそれ以外の蓄えてきた資産を切り崩しながら生活していくことを考えるのですが、資産にもいくつか種類があります。

  ①預貯金(普通) ②預貯金(定期) ③不動産 ④有価証券

 ここで注意が必要なのは、認知症になったら即凍結される資産があると言うことです。それは②③④です。①はカードと暗証番号が分かれば家族がATMで引き出せます。実際にそのようにされているご家庭は多くあります。しかし②③④は解約や売却をするには本人の意思確認が必要となるため認知症になった後では自由に現金化できないのです。そして一見資産家のように見えても②③④の比率が多ければ、自由になるお金は少なくて、困る事態に陥ります。平均寿命と施設の料金が分かれば必要となるお金はシュミレーションできます。

 困る事態に陥った後で取れる対策は、①何もしない ②成年後見制度を利用する の二択です。②の成年後見制度を使えば不動産の売却や定期預金の解約が可能ですが、第三者が家のお金のことに関与してきたり毎月の報酬が発生したりと使いにくい面が多々あり、浸透していません。①を選択すれば本人の家族が面倒を見ていくことになるでしょう。

 困る事態に陥る前であれば、①②に加え③家族信託を利用するという選択肢が増えます。そうでなくても②や③④を解約売却して現金化しておくことも有効です。保険の解約等も検討したら良いです。3人に1人が認知症になる時代です。癌で死亡するのと変わらないくらいの割合です。これだけ癌保険が活用されているのに家族信託はまだまだ名前すら認知されていません。あのとき知っていれば、と後悔する人を減らすためにも「家族信託」について発信していきます。