家族信託(不動産)

 信託契約の中で不動産を信託財産に加えた場合は、その旨を登記上に反映させる必要があります。分別管理義務の一環です。不動産の所有権移転登記手続となり、所有者は受託者の名義になります。ただし信託契約上の受託者である記載も明記されますので、形式的な所有者です。

 そして信託財産として登記する不動産の登記簿には、「信託目録」が追加されます。この信託目録に記載される事項は、信託契約の中から重要と思われる部分を抜粋します。登記簿は誰でも見ることができるため、不動産取引の安全を期すために必要となる記載をします。主な記載内容は ・信託の目的 ・委託者、受託者、受益者に関する事項 ・受託者の権限 ・信託契約の終了事由 ・信託財産の管理方法 などです。どの範囲まで登記簿に記載するかは司法書士の判断によるところがあります。不必要な情報は載せない方が無難です。例えば残余財産の帰属先や予備的受託者などの個人情報は記載しないというやり方もあります。

 信託契約が継続している間は、委託者に相続が発生しても登記簿上で相続による名義変更をする必要は無くなります。すでに受託者名義に変更されているからです。ただし、委託者の死亡により信託契約が終了することになるとしていれば、残余財産の帰属先として指定されている人に所有者とする変更手続が必要です。