家族信託のすすめ④

 信託契約とは、財産を持つ者が信頼できる人に対して、特定の目的のために、財産の管理や処分を任せる内容の契約です。一般的には親子間で締結するケースが多いと思われます。契約なので、双方に判断能力があるときに契約する必要があります。したがって親が認知症を発症してからでは手遅れとなる場合もあります。ちなみに契約を締結した後で認知症になったとしても、家族信託は引き続き有効です。

 信託契約では、託した財産については、相続発生後の承継者を指定することができるので、別に遺言書を残す必要がなくなります。信託に遺言の機能を持たせたものを遺言代用信託と呼びます。遺言代用機能を持たせるかどうかは、契約当事者の意思によります。この遺言代用機能を使えば、財産の承継先については更に次の承継先まで決めることが可能となりますので、その点では遺言では実現できなかったことを決めておくことが出来るようになります。

 遺言代用信託と似た名前で「遺言信託」があります。これは遺言書によって財産を渡す人と、渡した財産を管理する仕組みまで含めて遺す、という内容の遺言書です。管理する仕組みを渡すという点では家族信託と似ていますが、遺言ですので、相続が発生した後で無ければ効力は生じません。従って家族信託のような認知症対策としては不十分です。よく信託銀行で遺言信託という商品がありますが、家族信託とは別物ですので注意が必要です。

 信託財産の種類には法律上の制限はありません。現金、不動産だけではなく株式、投資信託、国債、債権、特許権なども理論上は全て信託財産に入れることが出来ます。しかし実務上の問題として金融機関の対応範囲との兼ね合いもあり、現金、不動産、未上場株式が主な信託財産として扱われています。今後は時代のニーズに合わせて扱う財産の種類が増えていくと思われます。

 この金融機関の対応の違いという問題は結構重要です。約3年前に私自身が調べた時点では、山口県東部では家族信託に対応する金融機関は2行しかありませんでした。そしてその2行でも料金を含めた対応に大きな差がありました。後日の投稿で記載しますが、家族信託契約を締結して現金を管理するためには金融機関で信託口口座を開設する必要があります。したがって家族信託を検討するのであれば、まずは付き合いのある金融機関が家族信託に対応しているのかどうかを確認し、対応不可であれば他の金融機関を探すことになります。