家族信託のすすめ③

 家族信託の登場人物は ①委託者 ②受託者 ③受益者 ④信託監督人 の4名です。④の信託監督人を就けるかは任意です。

 ①委託者は高齢の親 ②の受託者はその子ども ③受益者は①と同じ親 という形が一般的であり、イメージしやすいでしょう。

言い換えれば以下のようになります。

 ①委託者:財産を預ける人(親)

 ②受託者:財産を預り管理する人(子ども)

 ③受益者:信託財産から経済的利益を受ける人(親)

 委託者である親は家族信託契約を締結した後は、信託財産とした財産は受託者の子ども名義に変更されますので、自由に使ったり処分したり出来なくなります。その分信託契約で決めた目的通りに子どもに管理運用してもらうのです。信託目的は自由に決めることが出来ますが、一般的には親が今と変わらず生活していくことが出来るようにすること、が多いと思います。子どもである受託者は信託財産を信託目的外に利用することはできません。

 受託者は信託目的に沿う限り、信託財産を管理運用することが可能な一方で、次のような義務も課せられます。

 ①善管注意義務

  受託者は、信託事務を処理するにあたって善良な管理者の注意義務をもってしなければなりません。財産管理の専門家をのぞいて、他人の財産を預かっていることで常識的に要求される程度の注意を払う必要があります。財産管理の専門家であれば更に義務は重くなります。

 ②忠実義務

  受託者は、法令及び信託目的に従い、専ら受益者の利益のため忠実に信託事務の処理をしなければなりません。受益者の利益に反する行為や利益相反行為は忠実義務違反となります。

 ③分別管理義務

  受託者は、信託財産に属する財産を受託者固有の財産等と分別して管理しなければなりません。

   ・登記・登録しなければ権利の得喪および変更を第三者に対抗できない財産は登記又は登録する必要があります。

   ・金銭以外の動産は外形上区別できる状態で保管する必要があります。

   ・金銭その他は帳簿等によって計算を明らかにする必要があります。

 ④自己執行義務

  信託契約の定めがある場合、相当である場合、やむを得ない場合を除き、みだりに他人に代行させず、受託者自らが信託事務を遂行することが必要です。

 ⑤公平義務

  受託者は、受益者が2人以上いる信託においては、受益者全員のために公平にその職務を行わなければなりません。

 ⑥帳簿等の作成等、報告・保存の義務

  受託者は、信託財産に係る帳簿その他の書類を作成しなければなりません。毎年一回、一定の時期に貸借対照表、損益計算書その他の書類を作成して、その内容について受益者に対して報告しなければいけません。

 ⑦損失補填義務

  受託者の怠慢で信託財産に損失が生じた場合には受益者の請求により、受託者は、損失の填補または原状回復責任を負います。