民事信託は、ほぼオーダーメイドの契約です。そのため最初にしっかり当事者からヒアリングする必要があります。ヒアリングする相手は、財産を託する委託者とそれを託される受託者は当然ですが、その他にも信託関係人(後任受託者、受益者代理人、信託監督人など)からもヒアリングする必要があります。また、信託契約書では登場することは無くても、委託者と受託者の親族には民事信託について意向を確認したり意見を聴取したりすることは大切だと思います。
次にどのようなことをヒアリングする必要があるのか整理していきます。
①客観的事実
・委託者の基本情報(住所、氏名、生年月日、判断能力、健康状態など)
判断能力は会話をしながら確認することになります。健康状態は本人や家族に聴くことで大体判明します。そのヒアリング結果次第で、 信託契約書の作成が急を要するのか否かが決まります。
・親族関係とその相互間の関係
親族間の関係性を確認します。協力を得やすいのかどうか。この信託契約を進めることに理解を得ているかどうかは大切なポイントです。
・信託財産の種類とその額
金銭でいくら予定しているのか、不動産はどのようなものがあり、その評価額はいくらか。その時点で分かる範囲で確認します。
・委託者が使用している金融機関
信託口口座が開設できる金融機関かどうかを調べ、対応不可であれば他の対応している金融機関を紹介したり探してもらうことになります。
・委託者は遺言書を遺しているのか
遺言書の有無は、信託契約書の作成に影響します。遺しているなら内容を確認する必要もあります。
②委託者の希望や想い
なぜ、民事信託を利用したいのか、民事信託を使って何を実現したいのかを丁寧にヒアリングします。ここでヒアリングしたことはそのまま契約書の「目的」の項目で記載するようになります。