● 受託者は受益権の代わりに信託財産を受益者以外に贈与することはできません。これをやれば忠実義務違反に問われる可能性があります。ただし、受益者に扶養家族がいる場合は、受益者の扶養義務に基づいて信託財産から給付することができます。

● アパートやマンションなどの賃貸建物を信託財産に入れた場合、入居者から預かっている敷金や保証金などの返還義務は受託者が負います。信託契約書への記載の有無は関係ありません。

● 同じく賃貸建物から発生する家賃等の法定果実は当然に信託財産になります。賃貸建物を売却したお金も当然に信託財産になります。これも信託契約書への記載の有無は関係ありません。

● 金融機関の預貯金は信託財産にはできません。預貯金には通常譲渡禁止特約がついているからです。実務では受託者が信託口口座を開設し、それから委託者の預貯金を解約して信託口口座に送金するということになります。