一般的に家族信託の契約期間は長期間に及びます。それは、老親が死亡するまでの期間とする「死亡終了型」の信託契約が多いからです。親が元気なうちに締結しておく契約ですので、親がその後死亡するまでは長くて数十年続き事も考えられます。しかし信託契約の中では死亡終了型はまだ継続期間が短い方です。「合意終了型」となれば、老親が死亡した後もやめたいタイミングまで継続でき、最後は受益者と受託者の合意で終了させます。
死亡終了型は、親の老後の資産管理を目的としており、親一代限りが基本です。両親ともいれば一方の死亡後にもう一方の老後の生活を支えるための契約設計もありますので、もう少し長くなります。更に親以外に障害を持つ子ども等がいたら、親の亡き後はその子を受益者とする信託契約となり、その子が死亡するまで継続させます。いずれにしても誰かの死亡で終了させる信託契約を「死亡終了型」と呼びます。最も需要が多いタイプの信託契約と言えます。
合意終了型は、特に不動産収入がある家庭で採用される契約です。親が死亡した後での家賃収入を子供間で平等に分けて欲しいという気持ちがあれば、そのことを信託契約で設計できます。また、適切なタイミングで賃貸物件を売却して、その代金を子供間で分けて終了させることも可能です。
前回までの投稿でも述べましたが、家族信託契約は相当長期間にわたる契約になるため、契約設計時にはじっくりと家族会議を重ね、将来登場予定の利害関係人まで交えた話し合いをして決めるべきです。遺言と違い一方的な意思表示ではありません。契約当事者双方の合意の下で進めるものです。