現在の会社法では、株券は原則不発行となっています。よって定款で改めて「株券を発行する」という内容の定めをしたときに限り、株券を発行することが出来ます。株券を不発行とすることのメリットは
・株券の発行コストと管理コストを削減することが出来る
・株券の偽造等のリスクを減らすことが出来る
という点が挙げられます。ちなみに平成21年1月5日から、上場会社は株券の電子化により全て株券不発行となっています。中小企業においても株券は不発行とすることのメリットが大きいでしょう。
原則株券不発行ですが、不発行であることを改めて定款で下記のように記載することもあります。
(株券の不発行)
第〇条 当会社の発行する株式については、株券を発行しない。
株券の不発行が原則となったことに伴い、その会社では、株主は自己について株主名簿に記載又は記録された株主名簿記載事項の証明書の交付あるいは電磁的記録の提供を請求することが出来ます。従って株券不発行会社では株主名簿の備え置きが重要となります。
株券不発行会社の株式は、民法の一般原則によって、当事者の意思表示によって譲渡すること出来ます。しかしそのことを会社や第三者に対抗するためには、会社に請求して株主名簿の名義書換をしてもらわなければいけません。
株主名簿の名義書換は、原則として「株式取得者」と「名簿上の株主又はその一般承継人」が共同でする必要がありますが、一定の場合には株式取得者が単独で請求することが出来ます。