定款認証制度

 会社法では、原始定款は公証人の認証を受けなければ効力を生じない、と規定されています。従って定款認証は会社設立をするには必須となります。近年、新たな定款認証制度が二つできました。それをご紹介します。

 ① 実質的支配者となるべき者の申告制度

  2018年の公証人施行規則の改正によって設けられました。公証人は定款認証の際に、嘱託人から、法人設立時の「実質的支配者」となるべき者の氏名等並びにその者が暴力団員及び国際テロリストに該当するか否かを申告させなければなりません。申告の結果、実質的支配者が暴力団員や国際テロリストに該当し、又は該当する恐れがある場合は、必要な説明を求め、説明によっても違法性が認められる場合は定款認証を拒否することとなります。この制度の目的は、実質的支配者を把握することによって、法人の透明性を高め、暴力団員等による法人の不正使用、マネーロンダリングやテロ資金供与等を抑止することです。

  対象となる法人は、株式会社、一般社団法人、一般財団法人です。電子定款も紙の定款も対象です。実質的支配者とは、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者として主務省令で定める者のことをいいます。

 ② テレビ電話方式による認証

  2019年の省令改正により、一定の要件を満たす場合にはテレビ電話で公証人の本人確認を受けることができ、定款認証を受けることができるようになりました。一定の要件とは ・発起人等が定款に電子署名し、自らオンラインで認証申請をする場合 ・発起人等が委任状に電子署名し、定款作成代理人が定款に電子署名をしてオンラインで認証申請をする場合 です。

  しかしどの場合も発起人に電子署名をしてもらう必要があります。電子署名の手続きは結構手間がかかるため、発起人にとってあまり便利な制度とは言えませんでした。これを受け2020年からは発起人等が電子署名できない場合に、代理人に紙の委任状で定款作成を委任すれば、テレビ電話方式による認証制度が利用できるようになりました。