株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(会社法第49条)。代表取締役は登記申請書に所定の添付書類を添えて申請します。登記官は添付書類によって設立手続きに問題が無いか等を審査します。添付書類には払込取扱機関の払込があったことを証明する書類も含まれています。

 登記される事項は会社法第911条3項に定められています。主な登記事項は次の通りです。・目的・商号・本店及び支店の所在地・資本金の額・発行可能株式総数・発行する株式の内容・発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数・取締役の氏名・代表取締役の氏名及び住所・取締役会設置会社である旨

 登記簿に記載されている事項を証明した書面は誰でも入手することができます。商業登記所の窓口でもネットでも請求できます。手数料は必要です。なお、登記簿の付属書類(定款、株主総会議事録等)を閲覧するには、利害関係を証明する書類が必要です。

 設立の登記をすることによって、設立中の会社が法人格を取得します。同時に、設立中の会社に生じた法律関係は成立した会社に帰属します。出資の履行をした設立時株主は株主になります。設立時取締役は取締役になります。

 会社の設立日を創立記念日としている会社がありますが、設立日は登記を申請した日です。従って土日祝日は設立日とすることができません。元旦はもちろん、特定の日を設立日としたいという希望があってもその日が開庁日でなければ設立日にすることができません。

 登記のことを述べましたが、行政書士は登記をすることができません。会社設立の依頼を受けても設立登記は提携する司法書士にお願いすることになります。ただし設立に関わる以上、最低限の登記の知識はあった方が良いと考えます。例えば会社成立後に会社に何らかの変更が生じた場合に、代表者から、それが登記の変更まで必要なのかどうか問われた際に即時に回答することができれば依頼人からの信頼も増すでしょう。