株式会社を設立する際の・現物出資・財産引受け・発起人が受ける報酬その他の特別の利益・設立に関する費用は変態設立事項といいます。変態設立事項とは、会社法28条によって、効力が生じるためには定款に記載しなければならないとされた相対的記載事項です。会社法28条には上記の4点が定められています。

 変態設立事項はその評価次第で弊害が生じる恐れがありますので調査を必要とします。しかし取締役や監査役に調査を任せても、それらは発起人から選任されていることが多いので、調査の信憑性に疑問が残ってしまいます。そこで変態設立事項の調査を担当する「検査役」という制度を設けました。検査役は裁判所が選任します。発起人は定款に変態設立事項が含まれているときは、定款認証の後遅滞なく、裁判所に対し、検査役の選任の申し立てをしなければなりません。

 検査役は設立中の会社の臨時機関です。検査役の報酬は成立後の会社が負担しますが、報酬額は裁判所が決めます。検査役は調査結果を裁判所に報告します。その報告をしたときは、発起人に対して写しを交付したり、その他の方法で提供しなければいけません。

 ただし、現物出資と財産引受けについては、例外として以下の場合は検査役の調査は不要とされています。

  〇 その対象となる財産の価額が500万円を超えない場合

  〇 その対象となる財産が市場価格のある有価証券で定款記載の価額がその価格を超えない場合

  〇 現物出資、財産引受けが相当であることについて、弁護士・弁護士法人・公認会計士・監査法人・税理士又は税理士法人の証明を受けた場合 (不動産の場合は不動産鑑定士の鑑定評価も必要)

 上記のケースでは、重要性が低い、過大評価の恐れがないとされていますので、検査役の調査は不要です。そのかわり設立時取締役に調査を義務づけています。いずれにしろ変態設立事項は調査を受けるということです。