受託者と後見人等

 家族信託契約では、財産の管理運用に関することしか決めることが出来ません。その他の身上監護と呼ばれる行為は家族信託の受託者では行う子が出来ません。身上監護(身上保護)とは、例えば委託者である親が施設に入所しなければならない際に、親の代わりに入所契約書にサインしたり、入院手続をすることです。厳密にはこれらは親族が代わりに行っているのが現状ですので、必要性が生じたときに問題になる程度です。

 その必要性が生じたときに備えて、将来親の判断能力が低下して後見人を就けなければいけないときに、家族信託の受託者がそのまま後見人に就くようにしておく方法があります。それは、任意後見契約を親と締結しておくことです。この場合の任意後見契約は家族信託契約と同時に締結しておくことをおすすめします。その理由は、・家族信託契約と任意後見契約を同時に作成することで公証役場に行く回数が減る ・任意後見契約を締結する前に、親の判断能力が低下するリスクを避けることが出来る、からです。

 任意後見契約を締結していなくても、判断能力が低下した後で成年後見契約を使うことは出来ます。しかしこの場合、家族信託の受託者がそのまま後見人に就任できるとは限りません。最終的に後見人を誰にするかは家庭裁判所が決めるからです。ちなみに現在は親族が後見人に就任できる可能性は3割程度と言われています。

 親の老後は家族で看たいと思うのであれば、家族信託+任意後見契約がおすすめです。