家族信託設計時の留意点

 家族信託を設計する段階ではいくつかの留意点があります。

①みんなが納得できる信託設計作り

 家族信託契約は通常長期間にわたります。契約期間中には相続が発生することも想定して財産の承継先を決めることもします。委託者がよかれと思って設計した信託が、後に親族間の争いに発展するということもあります。そこで、信託設計時には親世代と子世代が家族会議を開いて、じっくり話し合いを行い、全員が納得できる内容とすることが望ましいと言えます。

②受託者の監督機能

 財産を託される受託者は、通常は委託者の子です。財産管理の専門家でないことが多いはずです。信頼できる家族だからといっても財産を私的に流用したり、投機的商品に手を出して損失を出したり、詐欺の被害に遭うことも絶対無いとは言えません。受託者である親が健全なうちは、親自身が受託者を監視監督することも出来ますが、年を取るにつれてその機能も次第に弱くなります。そこで「信託監督人」を就けるというやり方があります。信託監督人は成年後見人制度の後見監督人のような役割をします。受託者が適切に財産管理を行っているか定期的にチェックします。

③予備的受託者を決める

 将来起きうることを予測した場合、受託者が自己や病気で信託事務を遂行することが困難になるケースも考えられます。後継受託者を決めておかなくても、委託者及び受益者は新たな受託者を選任することが信託法では可能です(62条1項)。しかし、その時に委託者及び受益者の判断能力によっては新たな受託者の選任が困難になります。そのまま受託者を選任することなく1年が経過すると信託契約は強制終了します。その対策として、信託契約設計時には予備的受託者を決めておくと安心です。

④後見制度との併用を視野に入れる

 家族信託は、財産の管理に関する契約です。そのため委託者の財産は管理できても「身上監護」はできません。具体的には委託者である親が入院や施設に入所する時に、受託者という立場で入院契約や入所契約をすることはできません。現実には後見人で無くても家族のサインで入院や入所ができることが大半です。従って後見制度の利用は必須というわけではありませんが、いざというときには利用できるような心の準備をしておくと良いでしょう。