死後事務の具体的内容

 死後事務は大きく分けて、費用の支払や受領に関するもの、行政手続に関するもの、葬儀に関するものがあります。ここでは費用の支払と受領、行政手続に関して少し掘り下げて、具体的にどのような事務を行うのか検討します。人の死亡後に必要な行政手続はだいたい決まっているため、役所では専用のチェックシートを用意してくれている所もあります。書籍でも詳しく解説している本が出ています。それらを見ながら進めれば比較的スムーズに行うことが出来ます。

 まずは死亡届を提出します。これは7日以内に提出しなければいけません。死亡届を提出するときには同時に火葬許可申請書も提出します。これらの手続は葬儀業者が代行してくれることもあります。

 各種受給者証の返納手続があります。会社員が加入する健康保険の手続は所属していた事業所が手続を行います。従って保険証は事業所に返納することになります。自営業等の人で国民健康保険に加入していた人の場合は、死亡の翌日から14日以内に市区町村の窓口に保険証を返納しなければいけません。

 後期高齢者医療保険に加入していた人も14日以内に保険証を返納する必要があります。返納先は後期高齢者医療広域本部ですが、市区町村の窓口で対応してくれます。

 介護保険証も14日以内に市区町村へ、障害者手帳は速やかに都道府県知事に返納しなければいけません。

 保険料の未払いがあれば死後事務の受任者が支払います。還付金があれば受任者が受領します。どちらの事態が発生しても対応できるように、死後事務の委任状の記載をしておくと良いでしょう。

 委任者が年金受給者であった場合は、年金事務所に死亡届をしなければいけません。市区町村に窓口があることもあります。この届出義務者は戸籍法上の死亡届出義務者となっていますが、実務では死後事務の受任者が届け出ても受け付けているようです。

 未支給年金があれば、受給権者である配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの、が請求することになります。死後事務の受任者の立場ではこれは請求できません。

その他マイナンバーカード、印鑑登録証、パスポートを市区町村の窓口で、運転免許証を警察署で返納手続をします。