高齢者の財産管理に関し、財産の中には預貯金や不動産以外のものが含まれていることもあります。例えば株券、投資信託、特許権等です。これらの有価証券等の管理は、成年後見人であれば全て行えますが、保佐人・補助人では別途特定の法律行為についての代理権付与の審判を受ける必要があります。成年後見人でも、成年後見監督人が就任していれば監督人の同意を得る必要はあります。
成年後見人等は被後見人等の財産の現状維持を念頭に置いて職務を行いますので、有価証券の換価処分には慎重です。被後見人等が施設に入所する資金を用意するためとか、生活費を工面するためとの理由が無い限り換価処分はできないでしょう。他方、財産の現状維持を図るのであれば、運用リスクの高い金融商品や元本割れしている金融商品を解約するということも考えられます。
有価証券の処分は民法13条の「その他重要な財産に関する権利の得喪」に該当するとされていますので、換価処分をする際には事前に家庭裁判所に相談をしておくべきです。後見監督人が就いていればその同意を得ておくべきです。
被後見人の財産に株券がある場合、当該株主総会には成年後見人が代理人として出席することができます。議決権の行使については、本人の希望が一番重要です。場合によっては株主として合理的な判断を求められることもあるでしょう。
財産の中に知的財産権が含まれているときは、その権利を維持するために定期的に登録料を納付していることがありますので、まずはその実体を把握することが大切です。被後見人に特許権や著作権の使用料や許諾料の収入があれば、代わりに確定申告をする必要があります。