高齢者の財産管理と金融機関

 高齢者の財産管理には金融機関との関わりが外せません。成年後見、保佐、補助、任意後見であれば後見登記によって代理人であることが証明できますので問題ありません。しかし財産管理委任契約などの私契約では金融機関によっては代理権を認めないところもあるようですので、この点事前の確認が必要となります。金融機関によっては財産管理委任契約と任意後見契約を同時に締結している場合、任意後見発効前でも任意後見契約公正証書によって代理権を認めるところもあるようです。このように現状では金融機関ごとに対応が異なることがあります。

 キャッシュカードについてですが、成年後見の場合、後見人が就任した時点で本人のカードは解約されます。後見人に新たに代理人としてのキャッシュカードが発行されます。キャッシュカードの取扱も金融機関によっては何らかの制約があることがあります。その制約の程度によっては、あえて金融機関に成年後見の届けをせずに本人のキャッシュカードを継続して使用する選択肢もあります。

 本人がネットバンクを利用していた場合、後見人就任によってネットバンクは通常解約されます。成年後見人が代理人としてネットバンクを利用できるケースも現状は多くありません。

 保佐、補助の場合は、本人は保佐人・補助人の同意を得て預貯金の出入金をすることができます。しかし現状は金融機関が本人の出入金を認めていないことがほとんどです。