任意後見契約に記載する項目

 高齢者の財産管理の1つとして任意後見契約があります。この契約を締結するには契約書を公正証書で作成する必要があります。そして契約書の構成は一般的には ①発効時期の定め ②身上配慮義務 ③任意後見事務の範囲・管理対象財産 ④報酬の定め ⑤報告 ⑥その他 です。

 ① 発行時期の定め

   文言としては「任意後見監督人が選任されたときからその効力を生じる」という感じで記載し、いつから契約が発効するのかを明確にしておく必要があります。この文言を欠くと、任意後見契約とは認められません。

   任意後見受任者には任意後見監督人選任申し立ての義務はありません。しかし実際には受任者に申し立て義務が有ることを定めることが適当であり、そのような契約内容にしていることもあります。

 ② 身上配慮義務

   身上配慮義務の具体的な文言の例としては「最低〇ヶ月に〇回、本人と面談し、その状況や意向等を確認する」というものもあります。

 ③ 任意後見事務の範囲・管理対象財産

   管理対象財産は、財産目録を作成する方法で行います。将来財産が増加したときに備えて、増加した財産も管理財産とする旨の記載をしておくと安心です。

   事務の範囲は、代理権目録を作成して明確にします。

 ④ 報酬の定め

   任意後見契約は民法上の委任契約ですので、特約で定めなければ報酬を請求することが出来ません。従って報酬を受けるためには契約書で報酬の内容を定めておく必要があります。報酬の内容は毎月〇円というように定額報酬にするほか、通常の事務の範囲を超えた場合に別途報酬が発生することを定めておくこともできます。また、将来本人の生活環境や健康状態が変化した等の理由で定めた報酬額が不相当となったときに、当事者間の協議で報酬額を変更できる旨を定めておくこともできます。親族が任意後見受任者となる場合には無報酬ということも考えられます。その場合は無報酬であることを明記する場合もあります。

 ⑤ 報告

   任意後見監督人はいつでも任意後見人に対して、任意後見人の事務の報告を求めることが出来ます。この報告頻度や内容についても契約書で定めておくことが良いと考えられています。報告頻度は通常年2~4回程度が望ましいと言われています。

 ⑥ その他

   契約の終了事由等を記載します。

 このように、任意後見契約書の内容を作成するにはある程度専門知識が必要ですので、身近な専門家に相談した上で作成するのが良いでしょう。