高齢者の消費者被害

 高齢者の詐欺被害の増加が社会問題化されています。行政や金融機関側で様々な対策をとっても次々と新たな手口で詐欺を仕掛けてきます。高齢になれば認知症等にならなくても、健康・金・孤独につけ込まれて被害にあう可能性はあります。特におひとりさまの高齢者は被害にあっていてもそのことを周囲に察知してもらうまでに時間がかかることがあります。詐欺被害が発覚したときには多額の費用を支払っていたということも考えられます。

 こうした被害を未然に防ぐには、当該高齢者に関わる人を増やすことが効果的です。具体的には要支援認定や要介護認定を受けて、訪問介護やヘルパーに定期的に自宅に訪問してもらうようにします。そうすることで不審な郵便物や電話があれば適切な対処が取れることがあります。詐欺を仕掛ける側からすれば人の出入りが多い家には接触を控える可能性もあります。また既に被害に遭っていれば大量の購入品や高額な品を見つけることが出来、早期発見ならクーリングオフも検討できます。

 要支援や要介護の認定を受けるまでも無い人でも、判断能力が若干低下した人であれば、地域の社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を利用することによって、重要書類や少額の金銭を預かってもらうことが出来ます。このことも詐欺に未然防止に効果的です。

 地域包括支援センターでは、注意が必要だと判断されれば定期的に訪問をしてくれる場合もあります。

 民生委員が高齢者と行政のパイプ役となり適切なサービスを受けるように連携を取ってくれることも期待できます。

 専門職による見守り契約や財産管理委任契約も詐欺被害を未然に防止する有効手段となります。当事務所でもこれらのサービスを提供しており、対外的にもPRしています。ただしあくまで「契約」ですので判断能力がしっかしているうちに締結する必要があります。十分な備えをするならば、しっかりしているうちに「見守り契約」や「財産管理委任契約」と「任意後見契約」を同時に締結しておくことをおすすめしています。そうすれば仮に将来認知症等になって判断能力が低下したとしても、そのまま任意後見契約を発効させることができ、同じ専門職が任意後見人として当該高齢者に関わっていくことができます。

 詐欺被害対策としては、上記の様に当該高齢者に関わる人を増やしていくことが大切です。そして関わる人たちが次のような詐欺被害の兆候を早期に見つけることが大切です。

 ・自宅に大量の購入品が届いている

 ・自宅に不審な契約書や請求書・領収書がある

 ・金融機関の通帳に不審なお金の移動がある

 ・自宅に不審な電話がかかってくる

 ・高齢者本人が金銭的な相談をするようになった