財産の承継方法

 財産管理には、自分の望むとおりに誰かに財産を承継することも含まれます。特に高齢者のこうした財産承継は、判断能力が低下する前か後かで大きな違いが出てきますので、望み通りに誰かに財産を承継したいと考えるのであれば、事前に対策を講じておく必要があります。財産を承継させる方法には主に3つの方法があります。

 ① 生前贈与

   生前に、希望する人に財産を承継させることが出来ます。一方、贈与した後はその財産に係る利益を受けることは出来なくなります。

 ② 遺言

   死亡後に財産が移転しますので、生前は財産を承継させることはできません。

 ③ 民事信託

   財産を承継させる時期を自由に設定することが出来ます。財産を信託の受託者に移した後でも、当該財産に係る利益を受けることが可能です。また、財産の承継者を第一、第二と決めておくことができ、遺言と同じような機能を果たすことが出来ます。

 それぞれ財産承継のタイミングに違いがあります。高齢者がいつ承継させたいか、後継者はいつ承継する必要があるのかを考えて利用する制度を選択する必要があります。

 一般的には、遺言は厳格な様式が定めれており、要件を欠いた遺言は無効になることがあります。また、様式を具備した遺言であってもその内容に不満がある法定相続人から疑義が出れば紛争が生じ、手続が長期化することがあります。贈与、信託であれば仮に疑義が生じても高齢者本人に判断能力がある状態であれば真意の確認は可能ですので、紛争化のリスクは遺言に比べて低いと言えます。そういった法的安定性の観点からは、遺言よりは生前贈与、民事信託の法が望ましいと言えるでしょう。