既述のように任意後見契約は、契約締結時にはまだ効力は生じるものではなく、将来本人の判断能力が低下してきた時点で家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立て、任意後見監督人が選任されたときから効力が生じます。従って契約締結から効力発効までは場合によっては相当期間経過します。その間に契約内容の変更や契約自体を解除したいと思うことも考えられます。変更や解除はどのように行うのかみていきます。
〇 契約内容の変更
代理権の範囲を拡大するには二通りの方法があります。一つは既に作成した任意後見契約を解除して、新たに任意後見契約を締結する方法です。もう一つは既存の任意後見契約に、追加する代理権のみを付与する任意後見契約公正証書を作成する方法です。費用面からすれば後者の方が良いでしょう。
代理権の範囲を減らすには、一度既存の契約を解除して新たに契約書を作成しなければなりません。
代理権の行使方法を変更するにも、既存の任意後見契約を解除したうえで、新たに任意後見契約公正証書を作成する必要があります。
その他の内容を変更するには、変更契約の公正証書を作成する必要があります。
〇 契約の解除
任意後見監督人選任の前:公証人の認証を受けた書面によっていつでも解除可能です。
任意後見監督人選任の後:正当な理由があり、かつ、家庭裁判所の許可を得て解除することができます。
任意後見契約書の作成は、専門職が関与し、公証役場へ依頼するものですので、費用は決して安くありません。後に変更等をする必要が無いように契約書作成段階でしっかり将来を見据えて、ある程度の事態はカバーできる内容にしておくことが大切です。