身上保護が必要なときは

 身上保護(身上監護ともいいます)とは、対象者の生活や療養看護に関する事務のことを指します。この事務とは法律行為のことであって、直接的な身体介護等は含まれません。事務の具体例としては ・介護、生活維持に関する事項 ・住居の確保に関する事項 ・施設の入退所その他監視、苦情に関する事項 ・医療に関する事項 ・教育、リハビリに関する事項 があります。

 身上保護が必要となるときに締結する「契約」には、

  ① 見守り契約

  ② 見守り契約 + 財産管理委任契約

  ③ 任意後見契約

 があります。ただし①と②では財産管理が主な契約ですので、身上保護については別途必要な代理権を付与する条項を契約の中に定める必要があります。

 身上保護が必要なときに利用する「制度」には、

  成年後見 保佐 補助

 があります。成年後見制度を利用すれば、本人の一身専属権を除きほぼ全ての事項をカバーできます。保佐、補助では代理権の範囲が限定されていますが、その範囲内であればカバーできます。

 全体に通して言えることは、「契約」は本人の判断能力がしっかりしていなければ締結することが出来ないこと。「制度」は本人の判断能力が低下した後で対処するもの、ということです。