現在では、高齢者が資産運用するにあたり、金融機関では厳格な年齢基準を定めています。これは高齢者を保護する目的からですが、平均寿命が延び、低金利の状況下では手持ちの資産を運用したいと思う高齢者も少なくありません。
そこで、高齢者の資産運用を他者が行う方法として、民事信託と任意後見契約が考えられます。民事信託では資産運用の内容を信託事務として記載します。任意後見契約では資産運用の内容を代理権目録に記載します。
なお、法定後見ではリスクを伴う資産運用はできないと考えられています。法定後見制度は、被後見人の財産の保全が主な目的だからです。
民事信託や任意後見契約で、資産運用の規定を置いたとしても、金融機関ごとに対応はまちまちです。契約締結前に対象となる金融機関に事前に確認しておく必要があります。
資産運用は、元本割れのリスクを伴います。将来高齢者の相続人や利害関係人から責任追及されたときに備え、資産の運用対象、方法、範囲等について高齢者本人の意思をしっかりと確認し、各契約書に明記しておく必要があります。