高齢者と財産管理委任契約を締結した受任者や後見人は、別荘や自動車など、今後本人が使用する予定がないものがある場合、その処分を検討することがあります。処分を検討するに当たっては本人の意思を尊重することが大切です。本人に特別な思い入れがあることも考えられます。しかし不動産や自動車などは時間の経過と共に価値が減少するものもあります。処分の必要性や時期を本人とよく話し合って適切な判断をすることが必要です。
使わない財産に不動産がある場合、特に地方では処分に時間がかかる事があります。田畑は買い手が見つからないことが多く、宅地でも立地条件によってはなかなか買い手が見つかりません。そのような不動産は不動産会社も買取はしないことがあるので、処分するのに長期間を要すことがあります。不動産の処分をするときはそのことを念頭に置いて、計画的に行うようにします。
後見人が本人の居住用不動産を処分する際には、家庭裁判所の許可を得る必要があります。家庭裁判所に対しては ・処分の必要性 ・処分の相当性 ・本人の意向 を説明します。そのための疎明資料として本人の経済状況が分かる収支報告書、複数社の不動産業者の見積書等を揃える必要があるでしょう。
財産管理委任契約の受任者が本人の居住用不動産を処分する際には、家庭裁判所の許可は不要です。しかし居住用不動産の処分は本人に与える影響が大きいことに変わりは無いので、契約書に手続上の制約の定めを設けておくことが望ましいとされています。