高齢者の財産管理には、本人の債権債務の管理も含まれます。債権の例としては、以前誰かにお金を貸していること、債務の例としては借家の家賃などです。債権債務の調査方法は、本人や親族への聞き取りの他、通帳や郵便物の確認です。場合によっては取引先金融機関の貸金庫の中身を確認することも必要かも知れません。本人の手帳や日記帳に貸し付けの記録が残っていることもありますのでそれらのチェックもします。
債権がある場合、消滅時効にかからないように相手に催告したり相手から債務承諾書を取得することを検討します。債務がある場合は債務不履行にならないように履行期限を確認します。特に家賃が滞納すれば、契約解除の要件になり得ますので注意が必要です。
本人の判断能力に問題が無ければ債権債務の存在は本人への聞き取りでだいたい把握できると思いますが、判断能力が低下した後では本人への聞き取りだけでは不十分だと考えられます。住宅内の書類の確認と親族への聞き取り、過去の金融機関の取引履歴等チェック項目は増加します。債務があれば郵便物で判明することもありますので、今後の郵便物も確認する必要があります。
親族に対して債権がある場合、契約書を作成していないことも考えられます。その場合は契約書の作成を検討します。親族の保証人になっている場合、親族に債務不履行があれば本人に請求が来ることもあります。そのため親族の履行状況を常に確認し、場合によっては履行先に対して、履行が滞ったときは速やかに連絡をもらうように依頼しておくことも検討します。