判断能力の確認方法

 高齢者の財産管理に関する契約の中には、見守り契約や財産管理委任契約、家族信託、任意後見契約など、契約する時点で十分な判断能力があることが条件の契約もあります。面談時にその判断能力の有無・程度をある程度判断していくのですが、この判断は難しいことが多く、一般的には次のような方法をとります。

 ・面談時に、高齢者本人に本人の基本情報を言ってもらいます。基本情報とは住所・氏名・生年月日・年齢・家族構成・預貯金があれば金融機関名などです。これらが正確に答えられなければ判断能力の低下を疑います。

 ・直近の行動を教えてもらいます。数時間まえから数日前までの記憶が思い出せなければ短期記憶障害を疑います。同じく、数分前に説明した事項を繰り返し質問するような場合も短期記憶障害の可能性があります。

 ・曜日や日時、今いる場所や話している相手を答えられなければ見当識障害の可能性があります。

 ・幻覚やせん妄、暴言があるようであれば精神障害、行動障害などを疑います。

 上記の様な疑いがある場合は、契約締結を進めずに慎重に判断していくことになります。無理に進めると後にトラブルの原因になりかねません。そこで医師の診断を仰ぐ方法があるので、医師の診断を受けることを提案します。医師による判断には、長谷川式認知症スケールというものが多く使われています。点数で表示され、満点は30点です。20点以下であれば認知症を疑います。長谷川式認知症スケールは質問形式で行われますが、本人や家族が行うのではなく、医師による検査を受けなければ正確な判断はできないと言われています。