戸籍から法定相続人を確定する際に注意点は更に以下の点があります。
〇 同時死亡の推定
実務ではあまり扱うことは無いのかも知れませんが、知っておくべき事項です。同時死亡の推定とは、死亡したことが確実である数人の間において、一人が他の者の死亡後なお生存していたことが明らかでないときは、同時に死亡したものと推定する、というものです。同時死亡の推定が働けば、その者の間で相続は発生しません。
〇 再代襲
被相続人よりも先に相続人が亡くなっていた場合で、その相続人に子がいればその子が代襲相続人になります。代襲相続人にも代襲相続原因が発生したら、更にその子(冒頭の被相続人からみたひ孫)が代襲相続人になります。子に関しては再代襲に限度はありませんが、兄弟姉妹に関しては代襲相続が認められるのは一代限りです。
〇 胎児
相続に関して、胎児については既に生まれたものとみなして相続権があります。相続人は相続開始時に生存していなければならないという民法の例外規定です。ただし死産の場合は初めから相続人とならなかったものとされます。実務では胎児がいれば、出産し安定するのを待ってから相続手続を開始するのが一般的でしょう。
〇 祖父母の確認
被相続人に子がおらず、直系尊属もいない場合は、第三順位の兄弟姉妹が相続人になります。被相続人の年齢にもよりますが、兄弟姉妹が相続人になる場合には、直系尊属の死亡を戸籍で確認する必要があります。被相続人の祖父母あるいは曾祖父母までさかのぼるとなると戸籍収集作業量は一気に増加します。場合によっては戸籍や除籍が存在しないこともあります。そのような場合は役所からその旨の証明書を発行してもらい対応します。