法人設立業務は行政書士はもちろん、他士業も積極的に行っており一部では価格破壊も起こっているようです。例えば税理士であれば設立後の顧問契約を条件に設立費用は実質タダ同然で引き受けている事務所もあります。最近では法人設立専用のソフトも登場して、必要項目を入力すればそれだけで会社ができてしまうものもあります。それでも法人設立を業務として取り入れる理由は、相続とか遺言とかとは違う魅力があるからです。その魅力は多く分けて二つあります。一つ目は営業的な魅力です。会社設立を手がけると通常はその後に発生する諸手続や変更届等で、その会社と継続的なお付き合いができます。お仕事がリピートするのは遺言や相続にはない魅力です。二つ目は、立ち上げから関わることでその会社の成長する姿を見ることができることです。時にはコンサル的な関わり方をしていくこともあるでしょう。共に成長していくことはとてもやりがいを感じることができると思います。そのような理由で、過当競争が激しいこの分野でも地域に需要がある限り取り組んでみたいと思います。
会社の種類は4種類あります。株式会社、合名会社、合資会社、合同会社です。後の3つを持分会社といいます。持分会社の中でも設立の依頼があるのは合同会社がほとんどです。従って行政書士が設立する法人は株式会社と合同会社と言っていいくらいです。以下で各会社の特徴をまとめます。
〇 株式会社 株主は間接有限責任。出資と経営が分離されている。
〇 合名会社 無限責任社員のみで構成。
〇 合資会社 無限責任社員と有限責任社員で構成。
〇 合同会社 有限責任社員のみで構成。
このように合名会社と合資会社は社員に無限責任というとても大きな責任を負わすのが特徴です。設立数が少ないのもその辺に理由があるのだと思います。一方合同会社の社員は有限責任であり、機関設計に縛りがなく役員の任期もありません。会社のルールである定款の内容も割と自由に決めることができ、設立費用も株式会社と比べて安いので人気の形態です。
会社には共通する三つの特徴があります。法人性、営利性、社団性です。法人性とは、法によって自然人と同じ権利能力を付与された存在であるということです。営利性とは、会社が得た利益を会社の構成員に分配することが予定されているということです。社団性とは、人の集合体であるという意味合いですが、現在では一人会社も認められていますので、複数人である必要はありません。