養子縁組の制度は、血縁関係が無い者同士に親子関係を作る制度で、古くから認められています。養親と養子間には実の親子関係と同様の相続が発生しますので、相続手続きに際しては養子の存在の有無も重要なチェックポイントです。

普通養子縁組の場合、戸籍を見れば養子縁組をした旨の記載がありますので、比較的判断しやすくなっています。養親、養子とも夫婦であるため、養親の戸籍に在籍することができなくても、養子、養親それぞれの戸籍に養子縁組した旨の記載がされます。

一方、特別養子縁組の場合は戸籍上、一見して養子であることが分かりにくいようになっています。その理由は特別養子制度の趣旨からして実の子供として養育するべきであるから、特別養子であることを知られたくない人が多いからです。特別養子の戸籍の身分事項欄には「◯年◯月◯日民法817条の2による裁判確定」と記載がされるだけです。特別養子という表現は出てきません。父母の欄には養親の氏名が記載され続柄も実子と同じように記載されます。ではなぜ「◯年◯月◯日民法817条の2による裁判確定」という記載をするのでしょうか。これは養子自身の出自を知る権利や実親の近親者との近親婚の防止に配慮する必要があるからです。