婚姻をすれば原則として新戸籍が編製されます。この戸籍の筆頭者は氏を夫の氏にすれば夫に、妻の氏にすれば妻になります。夫、妻のどちらの氏とするのかはそれぞれの新戸籍編製前の戸籍の身分事項欄に記載されます。記載例は「〇〇〇〇と婚姻夫(妻)の氏を称する旨届出昭和〇〇年〇月〇日受付山口県山口市〇〇に新戸籍編製につき除籍」です。どちらの氏を称するかの記載は新戸籍には記載されません。ここで相続における注意点ですが、夫婦の戸籍の筆頭者が妻であったとしても、それは夫が妻の氏を称するだけであって、夫が妻の親と養子縁組をして妻の親の相続権を取得したのではないと言うことです。養子縁組をした場合は夫の戸籍の身分事項欄にその旨の記載がされますので、その記載が無い限り夫には相続権がありません。
ところで、令和3年6月23日に夫婦別姓について争われていた裁判で再び最高裁で合憲判決が出ました。現行民法は夫婦同姓を定めていますがこれは憲法24条の婚姻の自由に違反しないとしました。基本的に2015年判決を踏襲したものでした。そして「この種の制度のあり方は国会で判断されるべきだ」としてボールを政治に投げ返しました。現在は民法制定当時とは状況が変わっており女性の社会進出も進んでいます。少子化が進み婚姻後の改姓によって家系が絶たれるとの懸念もあります。様々な意見を取り入れていき時代に応じた柔軟な対応が求められているのではないでしょうか。個人的には選択的夫婦別姓があっても良いのではないかと思います。