まず初めに、死後事務委任契約を仕事として扱うこととはどういうことか、実務書を通じて感じたことを述べます。

死後事務委任契約は委任者の死と直に接することになります。依頼者の看取りを行い葬送を行います。生から死への過程に家族同然のように付き合うことになります。決して中途半端な覚悟では務まらないと思いました。精神的な負担は相当なものでしょう。親族がいればその方たちの感情を受け止めなければいけません。言わば委任者と遺族が本人の死を清算していく役割を勤めなければならないのです。

これまで学んできた遺言・相続業務では本人の死に直接関わることはありません。事後的に連絡が入り、事務的に業務を遂行するという感じです。後見制度については被後見人の死に接する可能性があるという点では少し死後事務委任契約に近い面はあるのかもしれません。しかし後見人が行う死後事務はやむなく行うことが多いのに対して、死後事務委任契約で行う死後事務は委任者の死後の希望を実現するために積極的に行う点が大きく異なります。

また、当該制度のニーズは身寄りの無い単身者と孤独死の増加に伴い増えていくと予測されていますが、決して高齢者ばかりの話では無いことが分かりました。ある遺品整理の業者の話では、孤独死の約6割が60代以下とのことでした。体調の急変や室内での事故によって発見が遅れるリスクはなにも高齢者だけの問題では無いようです。

今後求められていくと思われる死後事務委任契約について、これから少しずつ掘り下げていきたいと思います。