死後事務委任契約を意識した遺言書を作成するときに注意することがあります。ここでは当然公正証書遺言を前提にお話しします。公正証書遺言を作成する際には証人2人以上の立会が必要ですが、推定相続人や受遺者は欠格事由にあたり立会人になることができません。これは遺言者の気持ちが利害関係人によって左右されないことや真意から遺言の内容を決めてもらうことが目的です。従って死後事務委任契約の執行費用とするための死亡保険金の受取人を遺言執行者兼受任者としている場合は、その人は利害関係人となり欠格事由にあたる可能性があると思われます。よって別の証人を手配する必要があります。

任意後見契約を作成する際ですが、後見登記をするときに予備的な受任者を設定する制度が無いため、契約書上は当初受任者と予備的受任者は同列としておきます。実務では実際に業務を行う段階になって当初受任者が任意後見監督人の選任を申立てて自分がそのまま任意後見人に就任するということで対応しています。

死後事務委任契約書を作成する際は特に葬送に関する事は細かく契約書の中で取り決めておく事が重要です。親族や知人からクレームが出ることが多いためです。葬儀会社、葬儀の規模、参列者の有無とその範囲、宗派、お布施の額、棺に入れる副葬品など、出来るだけ決めておきます。そうすることで受任者である専門職は自分の身を守ることにもなります。