成年後見人は、後見開始の審判の確定後成年被後見人の財産を調査して、財産目録を作成して、原則一ヶ月以内に家庭裁判所に提出しなければいけません。財産調査と目録作成は、成年後見監督人が選任されているときは、成年後見監督人立会のもとで行わなければいけません。どのように財産調査をしていくのか、財産の種別に下記に記載します。
・事件記録:家庭裁判所で閲覧謄写します。後見開始の申立の経緯や、今後の方針決定など全体感をつかみます。
・本人、関係者との面談:上記の事件記録を参考にして、直接聞き取りします。趣味趣向や金銭感覚も確認します。
・本人の自宅の郵送物の確認:金融機関からの通知、年金に関する通知、カードの利用明細等を確認します。場合により「成年被後見人に宛てた郵送物等の回送嘱託の申立て」制度の利用も検討します。
・預貯金、現金:不明な点があれば、近隣の金融機関に照会します。新たに見つかれば通帳の再発行をしてもらいます。
・不動産:法務局で不動産登記事項証明書を取得して、抵当権や債務の有無を確認します。どのような不動産があるのかは市区町村役場で名寄帳を取得すれば確認できます。
・有価証券:該当の取引があるのなら、証券会社から取引残高証明書が定期的に送られて来ているはずなので、それをもとに照会して確認します。
・保険:まずは保険証券で確認します。それがない場合は、郵送物や口座の履歴から取引を推測し、問い合わせをして確認していきます。
なお、貸金庫を利用している場合、後見人になって初めて開扉するときは、第三者の立会のもとで行います。立会人がいない場合は、公証人に立会を依頼し、事実実験公正証書を作成してもらうようにして、後日のトラブル回避策を取ります。