付言とは、法律で定められた遺言事項以外のことを遺言書に記載するものです。付言は法的効果が生じませんが、相続人同士の紛争を防止できる効果が期待できます。また、遺言者が遺言を残した気持ちを伝えることできるので、遺族へのメッセージのような効果もあります。

 付言事項としては次のようなものがあります。・遺族等への感謝の気持ち ・特定の相続人に財産を多く渡す理由 ・遺留分の放棄の希望 ・遺留分侵害額請求権の行使をしないことの希望 ・生前贈与や特別受益の詳細 ・配偶者、子等に対する扶養についての希望 ・相続欠格事由とその宥恕 ・寄与、特別の寄与について

 付言は通常は遺言書の文末に記載します。本文に記載した場合は遺言事項か付言事項かの区別が困難になる場合がありますので注意が必要です。法的効果を期待する内容であれば付言ではなく、はっきりと法的効果が生じる事項だと分かる方法で記載する必要があります。

 付言を記載する大きな目的の一つは、相続で紛争を未然に防止することです。素直な気持ちを伝えるといっても特定の相続人に対して非難するような内容はおすすめしません。それがために相続手続が滞ることは避けたいものです。