遺言は、民法に定められた方式に従わなければ、することができません。また、遺言でなし得る事項は限定的であり、決められた事項以外の事項を遺言で意思表示しても、法律上の効果は発生しません。ただ現実には、残された家族への感謝の気持ちや、同順位の相続人で相続分の差が生じるような遺言をする場合に、相続人の理解を得て遺言執行を円滑にする目的で、遺言者の気持ちを伝える「付言」を遺言に残すこともあります。
遺言をするには遺言能力があることが必要です。民法では、15歳に達していれば単独で遺言ができると規定しています。成年被後見人は医師二人以上の立ち会いを得て遺言をすることができます。被保佐人・被補助人は完全に有効に遺言ができます。実務では、遺言能力の有無が後にトラブルの原因になることを防ぐために、遺言時に医師の診断書をとることもあります。
民法は、遺言による財産処分である遺贈ができることを規定しています。遺贈とは、遺言による財産の無償譲渡をいいます。遺贈には包括遺贈と特定遺贈があります。包括遺贈は、遺産の全部またはその一定割合を示してする遺贈です。特定遺贈は、特定の具体的な財産的利益の遺贈をいいます。遺言書での文章は「〇〇〇〇に□□□を遺贈する。」というイメージです。