代襲相続とは、相続人となるべき人が相続開始時に死亡その他の原因で相続権を失っている場合に、その人の直系卑属が代わって相続人になることを言います。代襲相続が発生するのは、被相続人の子、又は兄弟姉妹が死亡その他の原因で相続権を失っているときです。被相続人の子の子(孫)が死亡その他の原因で相続権を失っているときはその子(ひ孫)が代襲相続します。これを再代襲と言います。なお、兄弟姉妹の子には再代襲はありません。

 代襲相続が発生する原因は、①相続開始前の死亡 ②欠格 ③廃除 です。②の欠格は、民法891条に規定のある行為をした相続人に対し法律上当然に相続人の資格を奪うものです。③の廃除は、遺留分を有する相続人(兄弟姉妹以外)に一定の廃除事由がある場合に相続人の意思で家庭裁判所に廃除の請求をすることです。被相続人はいつでも家庭裁判所に廃除の取り消しを請求できます。遺言で取り消すこともできます。その場合は遺言執行者が廃除の取り消しを家庭裁判所に請求することになります。なお、相続放棄に関しては放棄をした人の子に代襲相続は発生しません。相続放棄をすれば最初から相続人でなかったことになるからです。

 遺贈と代襲相続に関して、判例を踏まえた注意点があります。「Aに〇〇を相続させる」というように相続分の指定を遺言で残して、相続が発生する前にAが死亡した場合、Aの子に代襲相続が発生するのでしょうか。結論はNOです。判例の要旨は〈遺言者より受益相続人が先に死亡した場合には、遺言者が、当該受益相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたと見られる特段の事情の無い限り、遺言の効力が生ずることはなく、指定相続分の代襲相続は否定される〉となっています。上記の様な場合にも代襲相続させたいときは遺言でその旨を明記し、逆縁対策をしておくことが必要です。