平成30年の民法改正で、968条2項が設けられました。

 968条2項

  自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉に署名し、印を押さなければならない。

 従来の自筆証書遺言は、全文、日付、氏名を自分で書くことが要件でした。今回の改正では財産目録に限り、パソコン等で作成したものが使用できるようになりました。財産目録は、土地なら所在、地番、地目、地積、建物なら所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載する必要があります。金融機関の預貯金なら金融機関名、口座の種類、口座番号、口座名義人を記載する必要があります。これを手書きではなくパソコンで作成したものや通帳のコピーの添付等で良くなったので、遺言者にとって負担がかなり減ったことになります。他人に財産目録を作成してもらう方法も取れます。注意しなければいけないのは、「添付」が必要だということです。本文が書かれた自筆証書とは別の用紙で作成して添付しなければいけません。本文と同一の用紙に自書によらない記載をすることはできません。

 しかしそれでもまだ、財産目録以外は自書しなければいけません。特に高齢者にとって自書は結構負担になります。しかも書き損じた場合の訂正方法が厳格に定められていますので、間違ったときは全文書き直しを検討することもあります。後に遺言書の有効無効を争う種は残したくありません。自筆証書遺言は手軽に作成できる遺言書ですが、遺言書を残す本来の目的を重視した場合には、多少費用がかかっても公正証書遺言を検討する必要があることもケースによってはあるかもしれません。