相続改正④

 相続が発生した後の遺産分割は、一般的には一度の全部の相続財産について行うのが理想です。しかし実際には先に預貯金だけ分割協議をして、その他の不動産などは後から決める、という運用もされてきました。しかしどのような場合に一部の分割だけを行うことが可能かのか、条文上で明確ではありませんでした。この点平成30年の民法改正時に、一部の遺産分割ができることについて明確化されました。

 民法第907条 共同相続人は、(中略)被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部または一部の分割をすることができる。

 家庭裁判所に分割を請求したときでも同様に「一部または全部」の分割を請求できます。ただしそれにより他の共同相続人の利益を害するおそれがあるときはできません。

 相続財産の一部分割ができることは条文上で明確になりました。よって相続財産に預貯金と不動産がある場合、先に預貯金の分割だけ行い、不動産については後から話し合いがまとまってから分割することも出来ます。この場合の注意点として、不動産の分割においては代償分割(特定の人が不動産を取得し、他の人には取り分に応じた金銭を支払う方法)を行うことも多いため、ある程度の調整金として使用できる預貯金を遺しておくことも考慮することです。

 先に分割した預貯金をその後動かすとなると、税務面での配慮が必要となる可能性がありますので、その点は税理士にしっかり確認した上で行うようにしましょう。