申請取次制度の概要

 行政書士の取扱業務の中には外国人関連の業務があります。業務の内容としては、外国人が日本に入国を希望する際に事前に在留資格認定証明書の交付申請を取次いだり、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を取次いだりすることができます。これらを申請取次制度と呼びます。申請取次は行政書士が所属する単位会を経由して、地方出入国在留管理局の長に届け出た者が行うことができます。届け出た行政書士は届出済行政書士または申請取次行政書士と呼ばれています。申請取次行政書士となるためには、行政書士で申請取次事務研修を受講して、効果測定とレポートで一定の結果を出すことが必要です。認定されれば届出済証が発効されます。ピンク色なのでピンクカードと呼ばれたりもします。

 外国人の入国者数は、感染症の影響で瞬間的に減少していますが、長期的視点でみれば増加しています。今後も更に増加すると見込まれています。都市部だけではなく私の事務所の所在地である山口県光市でも、よく外国人を見かけるようになりました。日本は少子高齢化が進んでいますので人口は減少傾向です。働く現場では外国人の労働力で支えられている職場も多くなっていると聞きます。行政書士の業務はたくさんありますが、ビジネスとして考えたときにも外国人関連の業務は将来性に魅力を感じており、この度私も申請取次事務研修(新規)を受講しました。

 申請取次行政書士は申請人等に代わり申請関係書類を提出することができます。このことは、申請人等が仕事や学業に専念できるため、負担の軽減になります。また、出入国在留管理局側は事務処理の効率化、円滑化、窓口の混雑緩和に繋がります。ただしあくまで取次ぐだけであって、代理ではないことに注意する必要があります。取次は申請書や資料を本人に代わって「提出」したり「受け取る」という事実行為ができるにとどまります。代理のように申請人に代わって意思表示をすることはできません。

 外国人関連の業務は高い倫理観を求められます。悪質なブローカーからの依頼もあると聞きます。知らない間に犯罪の片棒を担がされていた行政書士もいます。申請取次事務研修では、多くの時間を倫理研修に充て、新規届出を予定している行政書士が高い倫理観を持って業務に臨むことが出るような内容になっています。