家族信託を締結する際には契約書を作成します。契約書は当事者間で私文書として取り交わしても良いですし、公正証書にしても良いです。契約書に盛り込む項目としては ・信託の目的 ・信託財産 ・委託者 ・受託者 ・受益者 ・受益権 ・受託者の事務 ・帳簿等の作成義務 ・報酬 ・信託の終了 ・信託の変更 ・帰属権利者の定め があります。その他必要に応じて信託監督人や後継受託者や受益者代理人を定めることがあります。
〇 信託目的
信託契約を締結する目的を明記します。一般的には委託者の財産を受託者が管理運用する、または、委託者の財産を受託者が代わって管理することにより、委託者の生活を経済的に維持管理していく、というような内容になるかと思います。受託者は目的で定めたこと以外のことに信託財産を使うことは出来きません。
〇 信託財産
金銭であれば金額と、預け入れしている金融機関名と口座番号を記載します。口座名義も記載した方が良いでしょう。不動産は登記簿に記載されている情報を載せます。なお、不動産は信託契約に基づき、登記情報に信託財産である旨の記載がされます。ただし登記は誰でも見ることができますので、信託契約の内容をどこまでどのように記載するのかはよく考えて行った方が良いです。
〇 帳簿等の作成義務
様式に決まりはありません。極端に言えば、信託口口座に出金入金時の履歴や原因が分かるようにメモして、記帳したものでも事足ります。しかし、後に家族間でお金の使い方でトラブルが発生したときのために、帳簿を作成しておくことが、受託者が自分の身を守ることにもなります。
〇 報酬
受託者は、契約で定めれば信託報酬を受けることが出来ます。家族間であれば無報酬とすることも珍しくないでしょう。