会社の定款について、前回絶対的記載事項を述べました。今回は相対的記載事項についてです。相対的記載事項とは定款に記載しなくても定款自体の効力に影響はありませんが、効力を生じさせるためには定款に記載しなければいけない事項のことです。会社法28条では相対的記載事項として次の事項を挙げています。①現物出資 ②財産引受け ③発起人が受ける報酬・特別の利益 ④設立に関する費用 です。以下詳しくみていきます。
① 現物出資 設立する会社に対して出資するものは金銭だけではなく、現物でもできます。例えば特許などの知的財産権、不動産、ホームページなどです。現物出資した場合、その価値を過大評価して不当に多くの株式を取得するようなことがあれば、他の株主との平等が保てません。そこで現物出資を行う際には、出資者の氏名、名称、目的財産とその価額、与える株式の種類と数を定款で定めなければならないとしました。なお、現物出資ができるのは発起人のみです。
② 財産引受け 発起人が設立中の会社のために、会社の設立を条件として特定の財産を引受ける契約です。現物出資と違い、財産引き受けは通常の売買契約ですが、現物出資と同じ弊害のおそれがあるので規制されています。
③ 発起人が受ける報酬・特別の利益 発起人が受ける報酬や利益は、発起人が額を恣意的に決める可能性があるため、定款に定めることになっています。
④ 設立に関する費用 設立費用には事務所の賃貸料や株式の募集広告費があります。金額を個別に定める必要はありませんが、総額を定款に記載しなければいけません。これもやはり発起人の恣意的な操作を未然に防止するためでもあります。また、設立費用と言っても定款の認証手数料や印紙代、登録免許税などは恣意的操作のおそれがないことから設立費用から除外されています。