信託財産にかかる課税関係を考える際、実質的な所有者が現在誰で、財産の所有者が変わったときはその原因が何かを把握することで分かりやすくなります。
例として親子間で信託契約を結ぶケースでみてみます。親が委託者であり受益者でもあるとします。子が受託者です。このケースが家族信託で最も多いケースだと思います。契約締結時の財産の実質的な所有者は親です。確かに不動産の登記簿上は子が形式的な所有者として記載されますが、子は管理者に過ぎませんから、子に所有権が移ったとして不動産取得税が課税されることはありません。
上の例で信託契約の期間中に受益者が変わる(実質的な所有者が変わる)場合をみてみます。親が生きている間に受益者を変える時、その対価が支払われるなら譲渡所得税の課税対象となります。無償であれば贈与税の課税対象となります。親の死亡が原因で第二受益者に財産が移転するなら相続税の課税対象となります。
信託契約終了時についてですが、親の死亡が原因で終了するなら、契約の中で残余財産の帰属者として指定された人に信託財産が移りますので相続税の課税対象となります。親子間で合意の上で信託契約を終了させる場合は残余財産の帰属先を親にしておけば財産の移動はありませんので課税もありません。
上記はシンプルなパターンで検討したものです。実務上はもっと複雑なケースで検討することになると思います。行政書士は税金に関することは一般的な事しか回答することができませんので詳しくは提携する税理士さんに回答してもらうようにします。