保佐は、精神上の障害により判断能力が著しく不十分な人のための制度です。ある程度自分の意志で行動し、日常生活を送ることができますが、不動産の売買や建物の改修等は単独でできない人が対象です。以下の行為を被保佐人が行うときは保佐人の同意が必要です。同意無く行ったときは、保佐人は取消すことができます。

・元本を受領し、又は利用すること

・借財又は保証をすること

・不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること

・訴訟行為をすること

・贈与、和解又は仲裁合意をすること

・相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること

・贈与の申込の拒絶、遺贈の放棄又は負担付贈与・遺贈の受諾

・新築・改築・増築又は大修繕

・民法602条所定の期間を超える賃貸借

・制限行為能力者の法定代理人として上記の行為をすること

以上は民法13条1項で定められています。これ以外でも必要に応じて同意を要する行為を追加することができます。ただし、日用品の購入や日常生活に関する行為と身分行為(結婚 離婚 遺言 養子縁組 離縁等)に関しては同意権は付与の対象外です。

保佐人には代理権は当然には付与されていません。代理権が必要であれば家庭裁判所から代理権付与の審判を受ける必要があります。代理権の範囲は民法13条1項に限りません。財産管理や身上監護に関するものも対象です。

なお、保佐人が次の行為をするときは家庭裁判所の許可が必要です。

・人事訴訟に関する行為

・居住用不動産の処分行為

・本人宛の郵便物の回送嘱託

・本人死亡後の火葬埋葬に関する契約