成年後見制度には、大きく分けて法定後見と任意後見があります。法定後見はさらに後見、保佐、補助の三つに分かれます。この三つの制度について簡単に触れます。

 〈後見〉

 精神上の障害により事理弁識能力(判断能力)を欠く常況にある人を保護、支援していく制度です。「判断能力を欠く常況」とは、支援をしても契約の内容や意味を自分で理解することができない状態のことです。選任された成年後見人には代理権と取消権が付与されます。現在利用されている法定後見のほとんどがこの成年後見です。

 〈保佐〉

 精神上の障害により事理弁識能力(判断能力)が著しく不十分な人を保護、支援していく制度です。支援を受けなければ契約の内容を理解することができない状態の人が該当します。民法13条第1項に定められた法律行為を行うには、常に保佐人の同意が必要になります。同意を得ずに行えば保佐人が取消すことができます。13条1項以外でも必要に応じて同意権の範囲を広げることが可能です。

 〈補助〉 

 精神上の障害により事理弁識能力(判断能力)が不十分な人を保護、支援していく制度です。ある程度一人で日常生活を送ることができますが、重要な法律行為を行うときには支援を受けた方が良いと思われる人が該当します。補助人には、本人の同意があれば民法13条1項に定められた法律行為の一部につき同意権、代理権、取消権を付与することができます。

 以上の三つの制度を利用しても、成年被後見人、被保佐人、被補助人は日用品の購入その他日常生活に関する行為については単独で行うことができます。本人の状態が三類型のどれに該当するかの判断は難しいところですが、まずは医師の診断書が基準になります。その他高齢者の場合は認知能力の判断指標として、改訂長谷川式簡易知能評価スケールがあります。点数で示され満点は30点です。10点以下は成年後見、11~15点は保佐、16~19点は補助との基準があるようです。あとは本人の健康状態や生活環境、親族関係が考慮されます。介護サービスを受けていれば、介護職員やケアマネジャーの意見も参考になるでしょう。

 行政書士は職業後見人等としてはまだ実績は多くありません。しかしこの制度は今後さらに必要とされてくるのは確実です。業界でも研修に力を入れ、活動を強化しているようです。私自身介護施設で働いていた経験があり、当制度の必要性は実感しているところです。開業後はぜひ取り組みたい業務の一つです。