生活保護の扶養照会

 本日3月27日付けの朝日新聞に、生活保護の扶養照会についての記事が載っていました。扶養照会というのは、生活保護受給申請時に、自治体が、申請者の3親等内の親族に対して、金銭的援助・精神的援助が可能かどうかを問い合わせる制度です。これらの援助が受けられるのであれば、保護に優先して受けることになるためこのような仕組みが設けられています。しかし過去には、DV被害が原因で離婚したシングルマザーが生活保護の申請をしたところ、加害者である元夫に扶養照会がなされ、被害者の現住所が知られることになったという問題がありました。

 この扶養照会があることによって、保護が必要な人が申請を躊躇する実体があるとのことです。実際に扶養照会をした結果、仕送りが行われた割合は全体の1%未満との統計があることから、この扶養照会をどこまで実施するのか、各自治体の判断に委ねられています。国は「扶養が期待できない場合は照会しなくても良い」としています。

 生活保護の不正受給はよく問題視されていますが、必要な人が受給できていない「漏給」は表面化されにくくなっています。記事では、対象となる所得層のうち、受給者は2~3割とする研究者の統計があるとのことです。当事務所は生活保護の申請サポートを行っていますが、市役所の担当者とよく相談すれば、比較的柔軟に対応してもらえるとの印象です。扶養照会がネックになっているのであれば、照会をして欲しくないと申出れば、そのように対応してもらえるかも知れません。一人で悩まず、まずは相談をして欲しいと思います。