生活保護の要否判定②

生活保護には保護基準があります。この保護基準には2つの側面があります。1つは保護をするかしないかを決めるための基準です。つまりその者の収入額と最低生活費を比較して決定します。2つ目は実際に保護費として支給する額を決めるための基準です。1つ目と2つ目はイコールですが、2つ目はより広範囲に詳細に決められています。

 保護基準は、年齢別・世帯構成別・所在地域別などに分けて、厚生労働大臣が定めることになっています。まずは所在地域別に考えます。これは生活様式、物価の違いによる生活水準の差に対応するものです。全国を6種類の区分に分けています。大きくは、大都市及びその周辺市町・県庁所在地をはじめとする中都市・その他の市町村となっています。

 地域別に生活扶助基準が定められており、これは第1類費と第2類費、各種加算に分かれています。

  ・第1類費(個人的経費)

   個人の飲食費や被服費など、個人単位に消費する生活費です。年齢別に基準があります。

  ・第2類費(世帯共通経費)

   世帯全体としてまとめて支出される経費です。水道光熱費が代表です。地域によっては冬季加算があります。

  ・加算(特別の需要がある者だけが必要とする生活費)

   加算には 妊産婦加算 障害者加算 介護施設入所者加算 在宅患者加算 放射線障害者加算 児童養育加算 介護保険料加算 母子加算 があります。

 ここで生活保護受給者の構成を確認します。令和元年の統計では高齢者世帯が最も多く全体の55.1%を占めています。次に傷病障害者世帯の12.6%、母子世帯12.4%です。高齢者世帯の受給者比率は昭和55年には30.3%でした。世帯人員別では1人が最も多く81.5%、2人が13.3%、3人が3.3%、4人は0.4%です。1人の割合は昭和55年には55.7%でした。他の人員別と比較しても一人世帯の受給者の構成比率が急増しています。

 少子高齢化が急激に進み、生活保護を必要とする人の構成も自然と高齢者が増えているように思います。このままいけば高齢者のおひとり様の要保護者は更に増加するでしょう。