成年後見人は一人とは限らず、複数人選任されることがあります。身上保護は親族後見人が行い、複雑な法律事務は専門職後見人が行うほうが適切なケースで考えられます。逆に身上保護は福祉の専門職が関与するほうが良いケースでも考えられます。
後見人が複数人選任されても、各後見人は単独で権限を行使することができます。その場合は後見人間でしっかり連携をとり各々の行為に矛盾が生じないように注意する必要があります。
家庭裁判所は職権で、複数の後見人が共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができます。共同行使の定めがされたら単独で権限行使はできません。全後見人の意見が一致したときに権限行使ができます。事務の分掌の定めがあれば、定められた範囲であれば単独で権限行使が可能ですが、範囲外の事務は行えません。事務の分掌は身上保護と財産管理に分けられることが多いようです。
事務を分掌しても相互の事務が関係することもあります。例えば身上保護事務として介護サービスの利用契約を締結した結果、その利用料の支払いのための財産管理事務が発生します。そのため事務を分掌していても後見人間の連携は欠かせません。