受益者ー受託者間の利益相反行為

 家族信託において、受益者と受託者との利益が相反する行為(利益相反行為)は原則禁止されています。どのような行為が利益相反行為とされるのか、信託法によると以下の4つが挙げられています。

 ① 信託財産に属する財産を受託者の固有財産に帰属させ、または受託者の固有財産に属する財産を信託財産に帰属させること。

 ② 信託財産に属する財産を他の信託の信託財産に帰属させること。

 ③ 第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己が当該第三者の代理人となって行うもの。

 ④ 信託財産に属する財産につき固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務に係る債権を被担保債権とする担保権を設定することその他第三者との間において信託財産のためにする行為であって受託者又はその利害関係人と受益者との利益が相反することとなるもの。

 以上の行為は原則禁止ですが、利益相反行為の許容条件に該当する場合は有効となることもあります。また受託者は上記に該当する行為をしたときは、受益者に対して当該行為についての重要な事実を通知しなければなりません。許容条件に該当する場合は以下のケースです。

  ・信託契約書に、具体的な利益相反行為を許容する定めがあるとき

  ・受託者が具体的な利益相反行為をすることについて受益者の承諾を得たとき

  ・相続や包括承継により、信託財産に係る権利が固有財産になったとき

  ・受託者が具体的な利益相反行為をすることが合理的であり正当な理由があるとき