遺言の効力発生時期は、原則として遺言者の死亡時です。ただし、遺言に停止条件をつけた場合は、遺言者の死亡後に、その条件が成就した時に効力を生じます。ここで「停止条件」という言葉について説明します。私は最初すぐに理解できませんでした。例文で示すと「〇〇〇〇が30歳までに結婚したら、□□を遺贈する」という感じです。条件が成就するまで遺言の効力を「停止」する、と考えれば理解しやすいかと思います。また解除条件という言葉もあります。例文で示すと「〇〇〇〇に□□を遺贈する。ただし、〇〇〇〇が再婚したら、本条の効力は相続開始時に遡って失われる」という感じです。条件が成就したら効力を「解除」すると考えれば理解しやすいでしょう。
遺言書に遺言執行者を定めることができます。公正証書遺言の場合は指定されていることが大半です。遺言執行者が指定されていれば相続発生後の相続手続きが非常にスムーズに出来るため、極力指定しておいた方が良いです。遺言執行者には相続人を指定される場合も多いのですが、遺言執行するためには平日に役所や金融機関へ何度か行き、手続きをしなければいけませんし、法律事務も含まれていますから、専門職が執行者になることが望ましいと思います。あるいは相続人を遺言執行者に指定しておいて、その相続人から専門職へ復任して任務を行わせることもできます。そうする場合は遺言書作成段階から双方の了解を得ておくと執行がスムーズに行われることでしょう。遺言執行者の報酬額に関しては、家庭裁判所が定めることができますし、遺言者がその遺言に定めたときはその定めに従うことになります。専門職へ遺言執行を依頼した場合の報酬額は事務所ごとに差があります。専門職の立場からすれば、なぜこの報酬額なのか、ということを依頼者が納得できるように説明をすることが重要だと考えます。