募集設立

株式会社の設立方法には2種類あります。発起設立と募集設立です。これまで主に発起設立を前提に記事を書いてきましたが、今回は募集設立について発起設立との違いを中心に整理していきます。

実務上では募集設立はほとんど採用されていません。機動性もフットワークも他人が関与しない発起設立の方が優れているからというのも理由のひとつでしょう。

募集設立では、設立時発行株式の一部をまずは発起人が引受け、残りを引き受ける者を募集します。広く公衆に募集をかけるというよりは、縁故者のみに勧誘するのが実務上では一般的です。

出資の履行については発起設立とほぼ同じですが、引受人が出資の履行をしなかったときは、催告することなく株主となる権利を失います。また、現物出資は発起人しかすることができません。

払込取扱機関は払込金の保管証明の義務を負います。設立の登記時にはこの保管証明書の添付が必要です。発起設立の時は預金通帳の写しでよかったのですが、募集設立の場合は公衆が出資したお金の保管状況を明確にする必要がありますので保管証明書を要求しています。

株式の払込期日が経過すると、発起人は遅滞なく創立総会を招集しなければいけません。創立総会で決めることができるのは、会社の設立に関する事項に限られます。発起人は設立の経過を報告して、決議をとって設立時取締役を選任します。創立総会の決議は、議決権を有する設立時株主の議決権の過半数であって、かつ出席した設立時株主の議決権の3分の2以の多数をもって行います。